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石けん作り
No.1 脂肪酸 脂肪酸
油とアルカリ(苛性ソーダ、苛性カリ)で石けんを作る。 でも、油が違うと、異なるタイプの石けんができる。 オリーブ油で作ると、しっとりした洗い上がりで、柔らかい石けん。 ココナッツ油で作ると、洗浄力があり、泡立ちのいい石けん。 なぜでしょう? さらに、オリーブ油とココナッツ油ではアルカリの量(けん化価)が違う。 この違いは?
油を構成している脂肪酸の種類と、その割合によって表れた性質です。 脂肪酸をを知れば、石けんの性質(肌への作用、泡の特徴、硬さ)がわかります。 けん化価も実は、脂肪酸によって違います。 だから、同じ種類の油でも精製の違い等によって、 含まれる脂肪酸の割合が異なることがあります。けん化価も若干違ってきます。 (その違いが気になる方は、メーカーにけん化価を確認してください。)

脂肪酸には、「飽和脂肪酸」と「不飽和脂肪酸」があります。
「飽和脂肪酸」は、硬く、酸化しにくい石けんになります。 「不飽和脂肪酸」は、水に溶けやすく、酸化しやすい石けんになります。 じゃあ、飽和脂肪酸のほうが、傷みにくい良い石けんになるかというと、そうとはいえません。 水に溶けにくければ、冷水では洗浄剤として使えないし、 だからといって、溶けやすい「不飽和脂肪酸」を多くすれば、 溶け崩れやすくなり、酸化もしやすい。これは困る。 それぞれの脂肪酸の特性を知って、バランスよく配合することが必要です。 使う目的別、好み別(肌タイプ)もあるし。

石けんに影響する主な脂肪酸

石けんを作るのに、オリーブ油のみ、ココナッツ油のみ、 オリーブ・ココナッツ・パーム(マルセイユ)を使った場合を見てみます。 それぞれの脂肪酸の割合を見てみると、できる石けんの性質が見えてきます。

【 オリーブ油100%で作った石けん 】
多く含まれているのはオレイン酸。
オレイン酸が多いということは、 「洗浄力があって、肌に刺激が少ない、でも溶けやすく泡立ちにくい石けん」になります。

オリーブ100%石けん

【 ココナッツ油100%で作った石けん 】
多く含まれているのはラウリン酸。
ということは、 「泡立ちが良く、冷水でも洗浄力があり硬い、でも肌には優しくない石けん」になります。 飽和脂肪酸を多く含むので、酸化しにくい丈夫な石けんでもあります。

ココナッツ100%石けん

【オリーブ油72%、パーム油10%、ココナッツ油18%で作った石けん】
多く含まれているのはオレイン酸。 でもオリーブ100%と比べるとオレイン酸は少なく、ラウリン酸、パルミチン酸も含んでいます。
ということは、オリーブ100%の石けんと比べると 「洗浄力があり、泡立ちが良く、硬い石けん」になります。 ココナッツ100%の石けんに比べると、 「肌に刺激が少なく、泡立ちが控えめで、溶けやすい石けん」になります。

マルセイユ石けん

人によっては、(肌に)合うもの、合わないものもありますが、脂肪酸を知ることで、好みの「作りたい石けん」を作りやすくなります。
石けんを作る際に参考にして下さい。 オイルのデータ(脂肪酸情報)