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紫根
紫根 紫根(シコン)
肌への効果 : 解毒作用、殺菌作用、抗炎症作用
ムラサキの根。絶滅危惧種。
炎症を抑える、発疹を治める、血行を改善する、傷の治りを良くするなどの作用がある。
成分: ナフトキノン誘導体のシコニン、デオキシコニン、アセチルシコニン
シミ・くすみを防ぎシワ・たるみにも効果ありとテレビで紹介されたようです。
おかげで大変な人気で、売り切れ続出...それからはずいぶん時間がたってますが、私も購入。 紫根には、軟紫根、硬紫根があるようです。 成分、効果の違いはよくわかりませんが、日本薬局方のものは硬紫根だそうです。 というわけで薬局で売ってあるのは、硬紫根ということになります。
紫根でスキンケア
紫根 アルコールで抽出
皮膚病に効果がある生薬です。
ホワイトリカーにつけ込みました。
紫根_1日目 紫根_14日目
紫根10g、ホワイトリカー100gです。
瓶は150cc程度の大きさで、ジャムの瓶です。 保存は栄養ドリンクの空き瓶(100cc)を使用しました。
この写真を見る限りでは、ムラサキではなく黒ですね。 初日のほうが紫っぽい色に見えます。 エキスを取り出してみるとグレーです。
紫根でスキンケア 2
紫根といえば「紫雲膏」が有名です。
ごま油、豚脂で紫根、当帰を煎じ、蜜蝋を加えて作った軟膏です。 ひび・あかぎれ・しもやけ・魚の目・あせも・ただれ・外傷・火傷・かぶれなど、膿や滲出液の少ない皮膚症状に適用されます。 江戸時代のものですが、現在でも市販されています。 今でも売られているくらいなので、きっと効果も強いのだと思います。
薬理効果が高いためかぶれる人もいるようです。 ご注意を。
「紫雲膏」が気になります。 これを使ったら肌がきれいになるかも、なれるかも、かも...つくろうかな。

Wikiより紫雲膏の処方
 胡麻油(ゴマユ) 100.0
 紫根(シコン) 10.0
 当帰(トウキ) 10.0
 黄蝋(オウロウ。蜜蝋のこと) 38.0
 豚脂(トンシ) 2.5

作り方
 1.胡麻油約140〜180度で1時間くらい煮立てる。
 2.蜜蝋、豚脂を入れ溶かす。約140度で20分加熱。
 3.当帰を入れ約140度で20分間。当帰を取り出す。
 4.約140度、紫根を入れすぐに火を止める。紫根を取り出す。
 5.ガーゼで漉し、自然冷却して固める。
 6.固まったらよく練る。

気になるのは、豚脂(ラード)。 何のために入っているのだろう? 「紫雲膏」は、「潤肌膏」をもとに作られたといいます。 その「潤肌膏」は
 紫根、当帰、胡麻油、黄蝋
で作られています。 豚脂は入っていない、だから入れなくてもいいんじゃないかな。 クリームのレシピでラードを入れる人はいないしね...省略しよう。
次に気になるのは、蜜蝋の量。 一般的なクリームのレシピだとは
 油:蜜蝋=4〜5:1
胡麻油100に対して25も入ればじゅうぶんなはず。 でも38もある。 「紫雲膏」の作り方の最後の工程は『練る』です。 しっかり混ぜて練る作業をします。 練ることで光沢、粘りのあるものに仕上げるようです。 それをしないと硬くて使うときに大変そう。 そして作業も大変そう。 ならば、蜜蝋の量は減らしてもいいんじゃないか? いや、いっそのこと蜜蝋は入れずにオイル(紫雲油?)を作って、必要なときに必要な量の蜜蝋を入れればいいんじゃないかな...蜜蝋も省略。
当帰は、光毒性があるベルガプテンを含む...というのが気になる。 えぇーい、当帰も省略。 で、残ったのは、胡麻油と紫根。 これでは、できあがるのは紫根油ですね...まあいいか。

作るには温度管理が必要のようです。 でも、そんな温度計持っていないしなぁ。 それに「潤肌膏」は最初から油に紫根や当帰を入れてぐつぐつ煮るらしいし、あまり気にしなくてもいいのかな。 しかし、1の「胡麻油約140〜180度で1時間くらい煮立てる」を怠ると紫根の色が抜けてしまったり、劣化しやすくなるという記述をみました。 ここは手を抜いてはいけないのかもしれない...
インド人のパティル・シーマ・長澤さんの本「あたまから元気! アーユルヴェーダ家庭療法とヘナで安心美髪」に、ひまし油、紫根、蜜蝋で作るリップのレシピが載っていました。 これは、ひまし油と紫根を鍋に入れ弱火で2〜3時間とありました。
長く火にかければいいのかな。 そうしよう!

作りました、「紫雲膏」でも「潤肌膏」でもない、紫草のオイル。
 太白胡麻油 170g
 紫根 40g
ほうろう鍋にいれ、火にかけ2時間。 火が入らないようにずっと鍋の前です。 菜箸でときどき混ぜました。 煙も上がりました。 そして臭いもかなり強い。
出来上がりは、ガーゼで漉したら137gでした。

早速、できあがった紫草のオイルで、口紅を作りました。
 紫草のオイル 8g
 キャンデリラワックス 2g
紫草のオイル 紫草の口紅
使ってみると薄っすらオレンジです。

紫草のオイルを肌に塗ってみました。 薄く塗るので色は気になりませんが、なんだか昔あった赤チンを思い出します。 臭いが気になりますが、まぁ許せる範囲です。
美肌になったかどうかはわかりませんが、荒れた唇や顔、手足にも使えるので便利です。 口紅以外は、オイルのまま使っていますが、冬になったらシアバターと一緒にクリームを作ってみようと思っています。
紫根をブレンド
紫根エキスを他のエキスとそれぞれ混ぜてみました。 当帰、雪ノ下、ウワウルシ、牡丹皮、桑白皮、苦参、甘草、カミツレ(カモミール)の8種類です。
相性が悪いと混ぜてすぐに沈殿物が生じるそうです。
生薬8種類(当帰、雪ノ下、ウワウルシ、牡丹皮、桑白皮、苦参、紫根、甘草)
混ぜてみた結果、すぐに濁ったのはありませんでした。
数日後に少量の沈殿物があったのは、当帰、苦参、甘草、カミツレです。
どのエキスも黒いですね。 染料として使われることもある紫根。 エキスを入れていたプラ容器に色がつきました。
紫根×当帰
苦参・当帰
紫根×雪ノ下
苦参・雪ノ下
紫根×ウワウルシ
苦参・ウワウルシ
紫根×牡丹皮
苦参・牡丹皮
紫根×桑白皮
苦参・桑白皮
紫根×苦参
苦参・紫根
紫根×甘草
苦参・甘草
紫根×カミツレ
苦参・カミツレ
紫根でスキンケア 3
以前、ごま油で紫根を煎じて、ワックスでクリーム(軟膏)を作りました。 長い時間加熱して作らなければならない、そして部屋中紫根の強烈な臭いが充満します... この作り方は大変なので、今回は無水エタノール、ワセリンで軟膏を作りました
紫根10gを無水エタノール100gに2週間ほど漬け込みました。
紫根軟膏
 紫根を漬け込んだエキス 5g
 ワセリン(サンホワイト) 5g
紫根と白色ワセリン
ステンレスの容器(計量カップ)にエキスとワセリンを入れ、湯せんしながらかき混ぜる。
温度が下がってくるので、お湯を再度加熱し、湯せん。
(引火の恐れがあるので、火を使うときは容器を遠ざけておくこと!)
しばらくするとアルコールが飛び、アルコール臭がなくなる。 保存用の容器に流し込み、完成。
紫根軟膏 紫根軟膏
赤紫色の軟膏ができあがりました。
毎年のように足の指にしもやけができます。 今年は初めて手の指にもできました。 ついでにパックリ割れしました。
しもやけには紫雲膏!? でもごま油で作るのは面倒だし臭いので、アルコール抽出にしました。 紫雲膏よりもずっと簡単にできましたが、やはり臭います... 最近はハーブ軟膏ばかりを使ってきたので、なおさら香りが気になるようです。 染料に使われるだけあって色も付く。
紫根軟膏を見つけた子供が、「何これ?!」といってました。 禍々しい色に驚いたらしい。
紫根エキスはもっと少なくしたほうがいいかもしれない。 半分...いやもっともっと少ないほうがいいかもしれない。
そういえば紫雲膏には、当帰も必要だった。 紫根だけでなく当帰も入っているほうが、効くかもしれない。 そんな気がする。 そのうち当帰も抽出しようと思います。